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絶対に"統合失調症"の前でやってはいけないこと・・・
妻(ふふふ、コレクションに手を付けられないよう、カギをかけてあるのね)
妻(無駄なことよ!)
妻「この日のために猛特訓したピッキングで夫の部屋を勝手に開けちゃおっと!」カリカリ… カチャッ
妻「……」
妻「まったくもう……こんなに溜め込んじゃって……」
赤毛「おばさん誰……?」
メガネ「今度はあなたが……ボクたちに暴力を振るうんですか?」
おかっぱ娘「あのおじさん、怖いわ……」
幼女「うっ、うっ……もうなぐらないでぇ……」
妻「あなたたち身寄りのない子供たちを監禁(コレクション)してた男の妻よ!」
妻「チャンスは今日しかないわ! みんな早く脱出の用意をして!」
妻「あの人に狂わされた今までの人生を捨てて――新しい人生を歩むのよ!」
妻「……!」
赤毛「ずっと同じ家に住みながら、オレたちのこと助けてくれなかったくせに!」
赤毛「今さら逃げようなんていわれても信じられるかよッ!」
妻「そうよ……今まで私はあなたたちを助けられなかった」
妻「あの人は妻は夫のやってることに一切口出しするなってスタンスだったし」
妻「あの人がやってることになんとなく感づきつつも、どうすることもできなかった」
妻「このドアを開ける技術もなかったし、あの人に反抗する勇気もなかった」
妻「だけど……今の私は違う!」
妻「無事逃げられたら、あなたたちが私をどうしようとかまわない」
妻「だから……今だけは私を信じて! 今までの人生を捨てるのよ!」
赤毛「……分かったよ、おばさん。おばさんのいうこと信じるよ」
赤毛「みんな、脱出しよう!」
メガネ「分かりました」クイッ
おかっぱ娘「うん……そうするわ」
幼女「あたち、みんなといっしょににげる!」
妻「まず、この町を脱出するわ」
妻「それから、町の近くにある山に建ってる教会に向かうのよ」
メガネ「教会?」
妻「そこの神父様は子供好きらしくてね。たびたびメールで連絡を取り合ってたの」
妻「あなたたちを連れていけば、必ず助けてくれるわ!」
メガネ「なるほど、ボクたちのような孤児を預ける場所としてはもってこいですね」クイッ
おかっぱ娘「分かったわ!」
幼女「きょーかいにれっつごー!」
ザッザッザッ…
黒服「……」
黒服(奥様が、あの方のコレクションを逃がそうとしている……)
黒服「あの方に知らせねば!」
夫「ほう……あいつめ、ついに動いたか……」
夫「せっかく集めたコレクションだが、逃げられるよりはマシだ。始末しろ」
夫「もちろん、俺のワイフごと……な」
夫「……」
夫「ふっふっふ、あいつめ……亭主である俺に逆らうとは、愚かな……」
夫「お前たちは絶対に逃げられんのだよ……」
妻(……殺気ッ!?)
妻「みんな伏せてっ!!!」ガバッ
ガガガガガガガガガッ! ガガガガガガガガガガッ! ガガガガガガガガガガッ!
黒服「死んでもらいますよ……奥様」シュゥゥゥ…
妻「あなたは……主人の部下ね」
黒服「ええ……奥様及びコレクションの抹殺を仰せつかっております。諦めて下さい」
妻「抹殺? だったら私は……主婦らしくあなたを掃除してあげるわ!」
妻「……」スゥゥゥゥゥ…
黒服「!? ――な、なんだ!? 息を吸い込み始めた!?」
妻「……」ズオオオオオッ
黒服「うわあああああああっ! 体が引っぱられ……ッ!」グィィィィィッ
妻「主婦の吸引力は、ダイソンにも匹敵するのよ」ガシッ
黒服「し、しまった!」
妻「洗濯物折りたたみバックブリーカー!!!」グンッ
バキボキベキッ!
妻「あの人に伝えなさい……私は必ずあの子たちをあなたの手の届かないところに送ると!」
黒服(主婦、恐るべし……さすがあの方の奥様……)
妻「さ、急いで! 同じ場所にいたら、どんどん増援が送り込まれるわ!」
赤毛「うんっ!」
メガネ「はい」クイッ
おかっぱ娘「はいっ!」
幼女「は〜い!」
妻「まだ町から出るまでは道のりがあるし、ここで食料を買い込んでおきましょう」
メガネ「腹が減っては脱出はできませんからね」クイッ
幼女「おかいもの〜、たのしみ〜」
八百屋「へい、らっしゃい!」
妻「大将、適当に野菜か果物をみつくろってちょうだい」
八百屋「毎度! じゃあ奥さんにはきゅうりを、子供たちはバナナをプレゼントだ!」サッ
八百屋「特別サービス、お代はいらないよ!」
妻「……ありがとう、大将!」
メガネ「バナナは栄養が豊富ですからね。ありがたいですよ」
妻「……」
妻「――待ちなさいッ!!!」
おかっぱ娘「きゃっ!」
幼女「ふぇ?」
八百屋「ど、どうしたい?」
妻「……大将。今くれたきゅうりとバナナ……毒が入ってるわね?」
八百屋「……ちっ」
八百屋「バレちまったら、しかたねえ! このネギで叩き斬ってやる!」ジャキッ
魚屋「この包丁であんたを三枚おろしにしてやるぜ!」ジャキッ
妻「あいにく……私の手刀は包丁よりも鋭いのよ!」
ズパパパパッ!
八百屋「な……! ネギが……!」ボロッ…
八百屋「すまねえ、奥さん。ついさっき、あんたの亭主から命令があったんでさぁ」
魚屋「あの人に逆らったら……この商店街は潰されちまうんだ……!」
妻「……分かったわ」
八百屋「一刻も早く商店街から逃げた方がいい。商店街の人間は……全員奥さんの敵だ!」
妻「ご忠告、どうもありがとう!」
妻「みんな、一気に商店街を抜けるわよ!」
薬剤師「爆薬もまた、薬なのです!」ズガァァァァァン
床屋「脳みそごと刈ってやる!」ジャキジョキジョキジョキ
妻「くっ……! 次から次へと店主さんが襲ってくるわ!」
赤毛「どうしよう、おばさん!?」
妻(私一人ならともかく、この子たちを守りながらの逃走劇はやっぱり厳しいわね)
妻「……こうなったら警察署に行きましょう!」
署長「ようこそ」ニコニコ
妻「お願いがあります、署長」
署長「なんでしょう?」ニコニコ
妻「この子たちは私の夫が拉致監禁(コレクション)していた子供たちです」
妻「こちらで一時的に保護して欲しいのですが……」
署長「かまいませんよ。一時的どころか、ずーっと保護してあげましょう」
妻「銃!?」
署長「ヒャッハァァァァァ!!!」パンッ パンッ パンッ
妻「……!」
署長「胸に三発ヒィットゥ! あの世行きよォ!!!」
おかっぱ娘「おばちゃんがっ……!」
幼女「いやぁぁぁぁぁっ!」

【笑ったら心臓麻痺】デスノートコラクッソわろたwwwwwこれはやっぱレジェンドだわ・・・・
署長「な、なにっ!?」
妻「そして鍛え抜かれた主婦の腕は……物干し竿のように頑丈なのよ」ビキビキ…
妻「物干しラリアァット!!!」
ガゴォッ!
署長「げぶうっ!」ドサッ…
妻「どうやらあの人はすでに、この町の警察をも手中に収めてたようね……」
赤毛「どうすりゃいいんだ……」
メガネ「町の人間を頼れないのなら、外から来た人間なら安全なのではないでしょうか?」
メガネ「たとえば、町の外から来た自動車をヒッチハイクするとか……」
妻「なるほど、あなた頭いいわね!」
おかっぱ娘「やるわね!」
幼女「しゅごーい!」
メガネ「フフフ……」クイッ
赤毛「あっちにあるデカイ道路になら、町の外から来た車がガンガン通るはずだ!」
妻「よーし、みんなでヒッチハイクよ!」
運転手「乗せてってやるよ」
妻「ありがとうございます!」
運転手「どこまで行けばいいんだい?」
妻「町を出たところにある山のふもとまで……」
運転手「オッケー!」
運転手「そっちの子供たちはあんたのお子さんかい?」
妻「え、ええ……そうです」
運転手「へえ、子供がいる年齢には見えないけどね」
妻「あらま、お口が上手いんだから」ニッコリ
妻「あなたこそ、お子さんはいらっしゃるの?」
運転手「五歳になる娘がいてね……可愛い盛りさ」
ブロロロロ……
妻「あの……ちょっとスピード出しすぎじゃありません?」
運転手「……」
赤毛「あっ、あの角のところ、ガソリンスタンドがあるよ! このままじゃ突っ込んじゃう!」
運転手「……お前たち、あの方から逃げられると思ってるのか?」
妻「ま、まさかっ!」ガチャガチャ
運転手「無駄だ……ドアはもう完全にロックしてある」
妻「なんですって!?」
運転手「お前たちは……オレとともにガソリンスタンドに突っ込むんだよ」
運転手「不可能だ……」
妻「毎日自転車をこいで鍛えた主婦の脚力……ナメないでちょうだい!」
妻「ママチャリキック!」ガシャァァァァァン
運転手「なんだと!?」
妻「みんなを連れて――脱出ッ!」バババッ
ブロロロロロ……
ドゴォォォォォォンッ!!!
妻「みんな、無事?」
赤毛「うん、なんとか……」
運転手「なぜオレまで助けた……?」
妻「あなた、おおかた家族をネタに私の夫から脅されてたんでしょう?」
妻「そんなあなたを憎み切れなかった……ってとこかしら」
運転手「すまない……」
運転手(しかも脱出寸前にハンドルを切って、従業員に被害が出ないよう爆発を抑えてる……完敗だ)
妻「あなたの暴走のおかげで、あと少しで町の外ってところまで来れたわ」
妻「みんな、教会まで急ぎましょう!」
妻「ここが教会……」
赤毛「ここにオレらを守ってくれる神父さんがいるんだね?」
妻「そうよ。私も会ったことはないんだけど……」
メガネ「ということは、ここでおばさんともお別れですか……残念です」
おかっぱ娘「ここまで連れてきてくれて、どうもありがとう」
幼女「さびしいよう……」シクシク…
妻「……」
「お待ちしておりましたよ」
妻「あっ、あなたが神父様ですか?」
妻「――!?」
夫「よくここまでたどり着いたものだ、おめでとう」パチパチパチ…
妻「なぜ……なぜあなたがここに!? ああ……ま、まさか……!」
夫「その通り、この教会の神父は俺なのさ」
夫「お前はそうとは知らず、監禁の張本人に“子供を保護して下さい”と」
夫「メールを送ってたってわけだ」
夫「つまり、この逃亡劇は最初からなにもかも筒抜けだったというわけだ!」
赤毛「ち……ちくしょう! せっかくここまで来たのに!」
メガネ「やはりボクたちは……この人から逃げられない定めにあったんだ……!」
おかっぱ娘「こんなのウソよ……ウソよぉ!」
幼女「うえぇぇぇん!」
妻「……いいえ」
夫「なんだと?」
妻「実はずっと迷ってたの……この子たちをこのまま赤の他人に預けていいのかって」
妻「だけどこれでようやく決心がついた……この子たちは私が育てる!」
妻「今ここで……あなたを倒してね!!!」
妻「それはこっちのセリフよ!」
妻「切手や鉄道模型を集めるんならともかく、子供を集めるなんて正気の沙汰じゃない!」
夫「亭主の高尚な趣味を理解しようとせぬバカ女が……!」
夫「ドメスティック・バイオレンスを超えるDV(デス・バイオレンス)を見せてくれる!」
夫「酒をかっくらって――」グビッ
夫「ウォッカファイヤーッ!!!」ボォアァァァァァ
妻「なんの! 耳たぶをつまんで、その冷たさで炎を遮断!」ツマミッ
夫「炎は目くらましに過ぎん!」
夫「亭主とは常に深夜に帰宅する……午前サマーソルトキック!!!」グルンッ
バキィッ!
妻「ぐうっ!?」
ガゴォッ!
妻「包丁手刀!!!」シュバッ
ガキンッ!
夫「ふん……」
妻「き、効いてない!?」
妻「洗濯物折りたたみバック――」ガシッ
妻(ビクともしない……!)
夫「無駄だ……お前ごときの攻撃では俺は倒せない……」
夫「圧倒的“亭主関白”の前では、お前の主婦技など児戯にも劣るのだ」ゴゴゴゴゴ…
ズボォッ!!!
妻「が、ふ……っ!」
ドサッ…
夫「文字通り、肉体ごと魂魄を貫かせてもらった……終わりだ」
夫「さて、と……コレクションたちを回収するとしようか」ニヤ…
夫「俺のもとから逃げようとした罰は重い……たっぷり生き地獄を見せてやろう」
赤毛「ぐっ……!」
メガネ「ゲームオーバー……ですね」クイッ
おかっぱ娘「おばさんが……!」
幼女「ひいいい……!」
赤毛(あのおばさんを元気にさせる方法、なにかないか!?)
赤毛(そういえば、おばさんが元気になってた瞬間といえば……)
運転手『へえ、子供がいる年齢には見えないけどね』
妻『あらま、お口が上手いんだから』ニッコリ
赤毛「――これだッ!」
赤毛「みんな、オレがやるように声援を送るんだ!」
メガネ「お姉さん、負けないで下さい!」
おかっぱ娘「お姉さん、しっかり!」
幼女「おねえちゃーん!」
妻「!」ピクッ
夫「お姉さんだと? ふん、こいつのどこがお姉さんだ……見え透いたお世辞を」
妻「……」ニヤッ
夫「な!? お前はたしかに絶命したはず!」
妻「女ってのはね……若く見られるとみるみるパワーが湧いてくるもんなのよ」ムキムキ…
夫「な、なんだとォォォォォ!?」
妻「最後の力を振り絞るわ!!!」
夫「な、なにをするッ!?」
妻(夫を持ち上げたまま、ジャンプして、三回転半しながら落下ッ!)
妻「もう……あなたとは離婚よ!」ギュルルルルッ
妻「三下り半ドロォォォォォップ!!!」
ズガァァァァァンッ!!!
夫「俺に……トドメを刺さないのか……」
妻「刺さないわ……。仮にも今日まで夫だった人だもの……」
夫「……ありがとう」
夫(――バカめッ!)
夫(生きてさえいれば、またコレクションは増やせる!)
夫(今度は何十人という少年少女を集め、究極のハーレムを作ってやる!)
夫(力を蓄えたら、お前たちにも必ず復讐してやるッ!)
妻「な、なんの音!?」
赤毛「土砂崩れだ!」
メガネ「この山は土砂崩れなど起きない山なのに、なぜ……!?」クイックイッ
ドザァァァァァァッ!!!
夫「うっ、うわぁぁぁぁぁ……!!!」
…………
メガネ「ボクたちだけを避けるように、土砂崩れが……」
幼女「いったいどうちて……」
妻「きっと……神様の仕業だわ」
妻「神父を騙った悪魔に……天罰を下したのよ」
妻(あなた……あなたは悪魔ではあったけど……愛していたわ)
妻「いったでしょ? これからは私があなたたちを育てるわ」
妻「それと、もうおばさんともお姉さんとも呼ばなくていいわ」
妻「これからは……私のことはお母さんと呼んでちょうだい!」
赤毛「うん……お母さん!」
メガネ「お母さん、よろしくお願いします!」
おかっぱ娘「いっぱい甘えさせてね、お母さん!」
幼女「おかあさん、だいすき!」
妻「ふふっ、いい子たちね」
妻(あ、だけどたまにはお姉さんって呼ばれたいかも……)
― 完 ―
世にも奇妙な物語にありそうな話だった

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