後から知ったことだが、オヒツギシはその名前が表す通り、棺だったそうだ。
鬼の。
でも、そんなこと知らんガキからすると、オヒツギシは格好のランドマークで、
夏はかけっこの目的地、冬はショートスキーの目的地にしてしょっちゅう遊びに行ってた。
親の世代は気にしてなかったけど、じいちゃんばあちゃんの世代はオヒツギシを恐れてて
俺らが頻繁にオヒツギシへ行くのを知るといい顔をしなかった。
地元を荒らす鬼を退治して封じ込めたものらしい。
まぁ、多分征服者としての佐原氏が地元の勢力を駆逐して、その供養の為にでも建てたものなんだろう。
信心深いお年寄りは、オヒツギシを粗略に扱うと祟りがあると信じてて
俺らガキがオヒツギシに悪さしないかと心配してたらしい。
葦名盛氏のご先祖様由来のものだよ。
※蘆名盛氏(あしな もりうじ)は、戦国時代の陸奥国の武将・戦国大名。蘆名氏第16代当主。(wikipedia参照)
いつの間にかオヒツギシの秘密を暴こうみたいな話になっていた。
先にも書いた通り、オヒツギシは二本の石柱の上に乗ってて、まるで下駄みたいな外観をしている。
だから、歯と歯の間、オヒツギシの下には地面との間に空間が開いていて、まずはそこを調べようという事になった。
地面との隙間に入ろうとしたけど案外隙間が狭くて入れなかった。
そこで、次はスコップを持ってきて、土をちょっと掘って中の方に入ってみようということになった。
土は思いの外柔らかくて、ザクザク掘れて、あっという間に子供なら入り込めるぐらいの大きさになった。
気持ち悪いと言って、Kはすぐに隙間から出てきた。
それに興味を引かれたのか、今度はYが中に入っていった。
Kは気分転換のためか、オヒツギシによじ登って上に立った。
特定早い><
Kもオヒツギシから転げ落ち、パニクる俺達。オヒツギシの下にいるYのうめき声を聞いて更にパニックになってしまった。
石を持ち上げようにも子どもの力ではびくともせず、俺達は急いで自転車に乗って最寄りの部落まで大人を呼びに行った。
結局、大人が警察に通報し、警察がどこからかショベルカーを持ってきて、オヒツギシはやっと持ち上げられ、Yの遺体は搬送された。
最後はずっと、現場は青いビニールシートに覆われていたため、俺らはYを見ることが出来なかった。
そのせいでYのお葬式には出られず、それが今でも悔やまれる。
座敷牢から出た後は、同じく軟禁されていたらしいKと一緒にYの家に謝りに行った。
Yの両親は心ここにあらず状態で反応が薄く、Yの祖父には睨まれたがそれだけで終わった。
どうやらうちが村の領主の家系だったので、Yの家は俺に強く物を言えなかったらしい(これは後で聞いた話だけど)
俺とKは罪悪感に耐えかねて、度々Yの家の仏壇に手を合わせに行ったけど、
ご両親にやんわりともう来ないでくれと言われて、Yの家には行かなくなってしまった。
でも、俺とKはなんで死んだのが自分じゃなくてYだったのか、もっと上手くやれば助けられたんじゃないか
いやいやむしろそもそもあんな事しなければよかったとずっと後悔し続けてた。
大学は東京で、就職も東京で、村に帰ることはほとんどなくなった。
それが、去年のお盆、いつも仕事がクソ忙しくてお盆に帰ることなんて無かったのに
たまたま休みができて、他にやることもなかったので帰省しようと思い立った。
それで、今回はあれ以来行ってなかったYの家とオヒツギシに行って、Yをもう一度供養しようと思った。
Kもたまたまお盆の休みを利用してYに手を合わせに来ていたらしい。
俺らは偶然の再開に感じるところがあって、お花とYが好きだったお菓子を手に共にオヒツギシへ向かった。
地元の人にはオヒツギシのその後を全然聞いてなかったし、その話を敢えて俺らにする人もいなかったので
今はどうなっているのは知らなかったし、実に20年ぶりぐらいのオヒツギシだった。
俺らはびっくりして、自分たちの記憶違いかと思い、必死でオヒツギシを探した。
でもなかった。困った俺達は、最寄りの部落へ行って、畑仕事してたおじいさんにオヒツギシがどこにあるのか聞いた。
すると、随分前に子供が下敷きになる事故が起きて、オヒツギシは子供を搬出するときに動かしてそのまま撤去してしまったということらしい。
俺らは知らなかった。20年もずっとそのことを知らなかった。
俺らの胸に、またYに対する後悔の念がこみ上げてきて、泣きながら私達がその時の子供ですと言うと、
おじいさんはその時Yの救出を手伝ってくれた人だという。
おじいさんに感謝して、オヒツギシがあった場所へ案内してもらい、一緒にお供えをして手を合わせてきた。
Kとはそれ以来また連絡を取るようになって、独身の俺と違って、子供のいるKにとっては、
Yを失ったYのご両親に対してまた別の感慨があるみたいだ。
話はこれで終わりで、何の落ちもない救われない話だけど、この罪の念を一生抱えて生きていく俺の話を誰かに聞いて欲しくて書いた。
だろうね。本当にすまないと思っている。
去年尋ねた時は、Yの弟夫婦と孫と同居してて、幸せそうだったけど
その幸せがもっと大きかったかもしれない可能性を俺が奪ったんだな。
:2015/05/24(日)22:41:28 ID:
正直Y家には二度と行かない方がいいと思うんだが
俺なら何を捨ててもお前を殺してしまう
そうだな、オヒツギシだけに行くことにするわ。
それも特定されるように
おまえ、なんか企んでるよね?
よんだやつに何かしようとしてね?
???
どういうこと?
>>33
呪 い
本文読んでもらえればわかるけど、呪的な要素は一切ないよ。
信じるも信じないも勝手だけど
塩と日本酒用意して
舐めといたほうがいい
酒ないやつは水に米入れてそれの上澄みを
ちょっとやばいね
ミイラとか無かったのかなぁ
チラッとそういう好奇心も湧かないでもないけど、正直俺の中ではそういう方向の思考にはブレーキがかかってしまう。
今日の夜中っていったほうがいいか
とりあえず何かあっても絶対に起きるな
目を開けるな
念仏知ってるやつはとりあえず唱えとけ
効くかどうかしらんが
いいか
絶対に目を開けるなよ
そういう不謹慎な煽りはやめてくれないか。
全くそういう路線の話ではない。
うん、まぁ、もし本当に呪いとかバチとかあるんだとしたら、
それは面白おかしく尻馬に乗って人を脅す奴のところに行くと思うよ。
怖い
おお近いのか。
あれから思うんだけどさ、郡山の三森峠と中山峠の間に御霊櫃峠(ごれいびつとうげ)ってあるでしょ?
あれと何か関係があるんじゃないかって思うんだよ。
なんかそれっぽい話し聞いたことある?
その辺の心霊スポット行ってたけどわからんな
三森峠の旧道は有名だよね。
俺はオヒツギシの一件以来そういう場所には全く行かなくなったけど。
不謹慎だがちょっと残念
まぁ、俺の作り話だからね。
オカルト的な要素が思いつかなかった。
どうやら本当に死にたいらしいな
オカルト要素を混ぜたバージョンも書いてみたいんだけど、どうしてもリアリティにかけてしまうんだよなあ。
上手いこと呪いとか掛け合わせる人はすごいと思うよ〜
俺が得意なのは地理と歴史だから、そこら辺は上手く絡められるんだけどねえ。
上手いな
ごめんね、次やるときは最初に
※創作です
って書いておくわ。
上手い釣り乙
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