2: :2014/10/16(木) 19:44:48.48 ID:
20歳♂
172センチ
53キロ
ニート
案の定働けと叩かれるか、ニート仲間から擁護されるか、まあいつもの感じだ、そんな中いつもの感じじゃないやつが一人いた。そいつは「俺が助けてやるよwww」
って言ってる。
そいつ「とりあえず会おうぜ!」
オレ「出会い厨かよwwww」
そいつ「そうだよwwwいいからここにメールしろよ ◯×△□@yahoo.co.jp」
俺は暇だったし、たまに釣られるのも悪くないと思いメールしてみた。「釣れますか?」
するとすぐに返信がきた
「お前2週間くらい外出できない?」
俺「いきなりすぎだろ、しかも2週間とか長過ぎだろ」
そいつ「だよなwwwじゃあ一回会おうぜ、俺墨田区に住んでるんだけど」
俺「まじかよ、オレ曳舟なんだけど」
そいつ「まじ?俺向島なんだけど」
驚いた、こんなに近くにいたとは。チャリでおそらく10分かからないだろう。結局曳舟のヨーカドーに入ってるドトールで待ち合わせすることにした。
そいつ「ニート?」
俺「失礼だな、そうだよwww」
初対面なんだが珍しくあまり緊張しなかった。お互い軽く自己紹介。そいつ(以後カトウ)は小柄で童顔だった、年上の女性にもてそう、かわいーって感じで。同性愛者スレじゃないよ
カトウもコーヒーを頼んできた。そしてちょっと話してみる。カトウはスケボーやスノボーが趣味らしい。
俺「えー、転けるじゃん」
カトウ「それがおもしろいんだよ、頭から突っ込んで抜けなくなったときはマジで爆笑したわwww連れに出してもらったんだけど耳の穴と鼻の穴に雪詰まってて連れも爆笑してたよwwww」
まあカトウと一緒ならいいかな、と思っている自分がいることに気づいた。そんで
俺「じゃあいいとこ連れてってよ」
カトウ「お!まかせとけ!」
カトウはバイクに乗っていてよく後ろに乗せてもらっていた。ネトゲはあまりやらなくなっていた。そろそろアカウント消そうかな。
カトウは19歳で、学校に通っていた。靴を作る学校だそうだ。将来は自分の工房を持ちたいんだそうだ。
「2週間くらい外出しない?」
カトウが最初にメールで送ってきたやつだ。
最初にカトウにあったのが4月の中ば、カトウとはかなり仲良くなってたと思うし、カトウが居れば大丈夫だろう、っていう安心感があった。
俺「たぶん大丈夫だよ、どっか旅行?」
カトウ「まあそんな感じかな」
俺「どこいくんだ?」
カトウ「長野のほうだよ」
長野か、行ったことないしいいかも。
俺「じゃあ予定決まったら教えて」
カトウ「了解!」
カトウ「7月15日から31日って大丈夫?」
俺「大丈夫だよ」
カトウ「オッケー、とりあえずお前ん家行くわ」
俺「はいよー」
10分後、カトウが来た。
カトウ「おーす」
俺「おーす」
カトウ「お邪魔しまーす」
どうでもいいがカトウは挨拶がきちんとできるやつだ。
カトウ「じゃあ7月15日から長野の農家に行くから」
どうでもいいがカトウは突拍子もないことを言い出すやつだ。
俺「はぁ?」
カトウ「大丈夫、楽しいから!」
俺「無理無理!、大変だし迷惑かかるって」
カトウ「農家にはもう話してあるよ、ヒョロヒョロだけど大丈夫ですか?って」
俺「なんて言ってた?」
カトウ「笑ってた、んで大丈夫だって」
俺「覚悟を決めるか…」
カトウ「ちなみにかわいい子が居るよ」
俺「先に言えよ…覚悟を決めたぜ…!」
・歯ブラシ ・着替え ・作業着 ・カメラ ・長袖上着 ・早寝早起き
俺「サンキュー」
カトウ「昼間は暑いし夜出発でもいい?14日の夜6時くらい」
俺「大丈夫だよ」
カトウ「了解、たぶん3.4時間で着くと思う」
俺「おっけー」
カトウ「家の前着いたぜー、準備できてるか?」
俺「すぐ行くわ」
俺はドキドキしながら外に出た、不安とワクワクの入り混じった感覚だ、こんな感覚は何年振りだろう。
カトウ「よし、行こうか!」
俺「おう!」
途中何度か休んだり夕飯を食べたりしながら走り続ける。そしてとある駅についた。時間は9時20分前、目的地はもうすぐのようだ。
そして9時40分頃、到着。綺麗な家だ。洋風の建物、日本家屋を想像していた俺はちょっと意外だと思った。
カトウ・俺「お邪魔しまーす」
玄関で待っていたのは母娘弟の3人、俺はたじろぐが、みんな優しそうでちょっと安心。カトウは何度か来たことがあるようで慣れた感じだ。
そして目が覚めると5時45分。1階に降りると娘が朝食を作っていた。
娘「あ、おはよーございます、よく寝れました?」
俺「こんなに爽やかな目覚めは初めてですww」
娘「それは良かったですwww」
俺「じゃあカトウ起こして犬の散歩行ってきますね」
娘「はい、お願いしますね」
外にでると自然がすごい、葉っぱが濡れてキラキラしている。空気もひんやりしていてとても気持ちが良い。説明が下手すぎて申し訳ない、実際行けばよくわかる。
犬は黒い色で、やたらモフモフしていた。リードを繋いだ瞬間ダッシュする。俺は情けない声を出しながら必死で犬を止めた。カトウは眠そうにしながらニコニコしている。散歩コースは家の周りの道をぐるっと回るようなコースで、1周15分程だ。
畑に着くと娘の父と母がキャベツの収穫していた。(これからは父→吾郎さん、母→夏美さんと書きます。)
吾郎さん・夏美さん「おはよー!」
カトウ「よし、やろうぜ!」
俺「なにすればいいんだ?」
カトウ「とりあえず箱詰めされてるやつをトラクターに詰むか」
俺「了解!」
これがなかなか重い、1箱だと余裕だが2箱になるとちょっと持てない。一方カトウは2.3箱まとめて運んでいる。俺も負けじと2箱に挑戦するが足元がおぼつかない。
まだ先は長いしここはカトウの言う通りにしようと思った。
その代わり1箱をなるべく早く積むようにした。
ちなみにキャベツにはサイズがあって、サイズごとにうまく積むのはちょっと頭を使う。
箱詰めにもコツがいるらしく、サイズを見極めたりしなければいけないみたいだ。
俺にはまだ早いかな。
120箱くらい積んであるそうだ。
カトウは吾郎さんと出荷に行ったので、俺は夏美さんに教わりながらキャベツを収穫させてもらった。
包丁を使って切るだけなんだがなかなか難しい。
夏美さんは2回切るだけで箱詰めできる状態にできるのだが、俺は3回4回切らないとその状態にはできない。
その日の収穫が終わったのは日が完全に登った9時40分頃だと思う。
そこで少し休憩。売り物にならない小さ目のキャベツをくれた。(といっても地元のスーパーで見かける物より大きい)味付けもせず丸かじり。
今日の出荷はこれで終わりらしい。午後は他の畑に行って草取りやネットを張ったりした。
朝はとても涼しく、少し肌寒いくらいだが昼間はさすがに暑いし、太陽がなんだか近い気がする。
汗だくになりながら作業する。最初はなんでこんなことになってんだ?とか思ってたけど気づいたら黙々と草を抜いてた。
畑がきれいになると達成感も得られてなかなか楽しい。
夕方の犬の散歩もおわらせる。もうクタクタだ、とりあえず風呂に入る。
これが超絶気持ち良い、湯船に浸かったとき、思わずア゛ーって言ってしまった。
風呂から上がり、夕飯を食べる。最初の日はカレーだった。これもマジでうまい、無言でひたすら食べる。2回おかわりした。
経緯は覚えてないが夏美さんの「社長と呼べー!」という一言で夏美さんのあだ名が社長になった。そんな感じで10時前くらいになったので寝ることにした。
カトウ「おう、おはようwww」
俺「おはよう、知っててやってるだろ」
カトウ「次の日に筋肉痛がくるのって若い証拠らしいよ、良かったじゃんwww」
俺「」
カトウ「まー怒るなって、明後日くらいには筋肉痛も治ってるってww」
俺「だといいな…」
文才あるぞ。
そして犬の散歩に出かける。今のところ人生最悪の犬の散歩となった。
ヒィヒィ言いながら散歩を終わらせ、朝食を食べる。うん、うまい。
そして時間になったので畑に向かう、まともに運べるのか心配だ。
俺は負けず嫌いな性格で、全然大丈夫です!余裕です!と言ってしまった。吾郎さんは笑ってる。
カトウ「よしやるか!」
俺「お、おう!」
2日目ということもあり要領はわかってきている、だが体が動かない、もう全身筋肉痛だ。
帰りてー…とか思ってると、カトウが「40箱運んだら楽になるよ」と言ってきた。俺は半信半疑のまま40箱目指して運び始めた。
最初はめちゃくちゃ痛かったが、だんだん慣れてきたのか本当に痛くなくなってきたようだ。
出荷が終わったあと吾郎さんに「中々根性あるなー!」と言われたのが素直に嬉しかった。
その日の午後は、天気も悪かったので倉庫で出荷用の箱を作る作業だった。
変な機械に箱を通すとテープを貼ってくれるので、それを積み上げていくというもの。これはかなり楽しい。
倉庫にあったレールとかを使って勝手に箱が流れていくようにしたりして遊んでた。
途中で弟も来て、カトウと弟は走り回りながら箱を積んでいった。
俺は筋肉痛だったので箱を流す係り
吾郎さん「俺君って免許もってる?」
俺「はい、ありますけど」
吾郎さん「じゃあちょっと娘迎えにいってくれない?」
俺「え、マジですか、どこですか」
吾郎さん「駅までなんだけどさ、道かるでしょ?」
俺「来るときに通ったのでだいたいわかりますけど…」
吾郎さん「じゃあよろしくねー」
俺は迷ったら困ると思いカトウも誘った。
俺「カトウー、駅まで行かない?」
カトウ「えー、行けないわー」
俺「なんで?そういえば社長は?」
カトウ「俺は弟と遊んでないと、社長は買い物行ったよ」
俺は仕方なく一人で行くことに、緊張する。
車の運転も久しぶりだ、MTだったら発進できなかったかもなー、とか考えながら駅を目指す。
出口近くで待っていると娘が出てくる。娘はすぐに気づいたようでこっちに向かってくる。逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ…
娘が車に乗り込んでくる。もちろん助手席に。とりあえず出発
娘「迎え俺さんだったんですねー、ありがとうございます。」
俺「いえいえ、でも不用心な家ですね、今カトウと弟しか家に居ないですよww」
娘「カトウくんは何度か来てもらってますからねwww」
カトウくんか…うらやましい…
俺「」(うわあああああああああ)
俺「実は…俺ニートなんだよね!」(言っちまったあああああああ)
娘「へーニートなんですか!ニートってもっと暗くて太ってるイメージでした、偏見はよくないですね」
俺「そ、そうなんだよね!」(なんとかなったのかあああああ!?)
俺「ところで娘さんも敬語使わなくていいよ、俺こんなだし」
娘「あ、ほんとですか?実は私も敬語苦手なんだよね、学校も小さくて先輩後輩みんな友達みたいなところでさwww」
俺「なんかそういうのっていいねぇ、温かみがあるっていうか」(切り替え早え!あとちょっと否定して欲しかった…)
天然ってすごいと思った一日でした。
次の日の出荷は前日よりいくらか楽になってて良かった。
相変わらずカトウはモリモリ運んでる。ザクザク切ってる。
そういえば初日の夜にカトウはこの辺に工房作りたいって言ってた、確かに良いところだ、俺もこういうところに住みたい。
牧場があったりうまい飯屋があったりしてかなり楽しいところだ、やっぱここに住みたい。
そういえばスキー場もあるみたいだ。
カトウ「ん?」
俺「カトウが連れてこようと思ってたスキー場ってここ?」
カトウ「おしい!この辺にスキー場結構あるんだよね、だからこの辺だけどここじゃないんだ」
俺「まじか、ちょっと楽しみだわ!」
カトウ「だな!早く冬ならないかな」
娘「私も行っていい?」
カトウ「いいぜー、ってか娘んち一家巻き込むつもりだったwww」
娘「なにそれww楽しみwww」
カトウ…お前今輝いてるよ…
俺「えっ、いや、その、スキー場って行ったことないんだよねー」
娘「そうなんだ、スキーとスノボどっちやりたい?」
俺「そうだなぁ、どうせやるならスノボーかなぁ」
娘「」
カトウ「娘はスキー大好き人間だからな」
俺「あ、そうなんだ、うーん、悩むなぁ」
娘「さっきスノボって言ったじゃん…」
やばいいじけてる!?
カトウ「やっぱスノボっしょ!」
火に油じゃねーか
俺「まだ冬まで時間あるしゆっくり考えるよ!」
カトウ「やっぱスノボっしょ!」
てめーはだぁってろ!
でも娘は地元だしカトウも何度も来てるはずなのに一緒にはしゃいでくれてありがたい。
その日もあっという間に夕方になって帰ることになった。
帰る途中に夕飯の買い物をする。
こんなことでもいちいち楽しいのが不思議だ。
あと天ぷら。シシトウの天ぷらがめちゃくちゃうまかった。
最後に茹でたトウモロコシ食べたんだがこれが激甘うますぎてびっくりした。
農家って飯が異常にうまい。腹も満足したところでいつものダラダラする時間。
デコピンでやるビリヤードみたいなゲームなんだがこれがすごく面白い。
みんなトランス状態みたいでなにが起きても爆笑、3年分は笑ったと思う。
気づいたら笑い疲れたのか弟が寝てたので、今日はお終い。
時間も時間だったのでお開きにして寝ることに。
俺「なあ起きてる?」
カトウ「…」
寝てやがった。
俺もいつの間にか寝てたようで、いつも通りの爽やかな朝を迎える。
1階に降りると娘が朝食を作っている。
娘「あ、おはよー、昨日めっちゃ楽しかったねwww」
俺「すごかったなwww3年分は笑ったよwww」
娘「顔真っ赤だったよwww」
俺「娘もなwwwじゃあ散歩行ってくるよ!」
娘「いってらっしゃい!」
やべぇ良い感じだよ…さりげなく呼び捨てにしちゃったよ…
といってもまだ3日目くらいだが。
飯のうまさ、風呂の気持ちよさ、当たり前の日常になってて気づかなかったが楽しいこと嬉しいことってのは案外その辺にあるもんなのかもな。
この辺りまで考えたところで急に恥ずかしくなって考えるのをやめた。
俺「走るか!」
犬「ハッハッハッ」
俺は全力疾走する。
犬は俺に合わせてか一緒に並走している。
ここでも俺の負けず嫌いが発揮され、犬を置き去りに駆け抜けたいと思った。
しかし現実は甘くない。すぐにバテてしまい、駆け足がやっとだ。
しばらくして歩き始める。爽やかな朝だ。
カトウも外でなんかしてたみたいで玄関から入ってくる。
とりあえずコーヒー牛乳を一杯。うまい。
俺は結構汗をかいてたみたいで娘に聞かれた。
娘「なんでそんなに汗かいてんの?」
俺「犬に挑んだら負けた、悔しい」
娘「もうあの犬おばあちゃんなのにwww」
俺「…いただきまーす」
カトウ「いただきまーす!」
娘「召し上がれ!」
筋肉痛も良くなって体が軽い、今日なら二箱に挑戦できそうだ。
しかし最初の3回くらいだけ運べただけで結局1箱ずつに。まあ初日は1回もできなかったし良しとしよう。
この日の午後は草取りをやった。
こちらも要領を掴んで来たようで、前よりも広い範囲を終わらせることができた。
どうでもいいけど爪の間に入った土って中々取れないな。
シャワーの線に指を立てると爪の間の土取れるよ!
読んでる!面白い!ゆっくりでいいよ!
クラシックとかよく分からんがカノンだけは分かった。
カトウはいつの間にか寝てたので、娘とニヤニヤしながら服の中に氷を入れてみる。
娘「どうなるかな?w」
俺「キレたらやだなぁw」
氷ポロン
カトウ「…んっ!んんんん!?」
跳ね起きるカトウ
娘・俺「あははははwww」
カトウ「なんだよ、ひでーなw」
眠そうな顔でニコニコしてる
俺「上いこーぜ!」
カトウ「そうすっかー」
娘「おやすみー!」
カトウ・俺「おやすみー!」
午後の時間を何度か使って倉庫で犬小屋を作った。
犬小屋にはでかい穴が空いていて、冬になると家の下にもぐりこんでいるらしい。
だからあんなにモフモフになったのかなーとか考えながら犬小屋を作る。
道具は揃っていたのでそんなに大変なことは無かった。
完成した犬小屋を軽トラに載せるのが大変だった。
俺は斧を使ってやるもんだと思い、意気込んでた。
斧を使うのはちょっと慣れた物だったからカッコイイところ見せれると思ってた。
しかし現実は甘くない。薪割り機なるものがあり、木をセットしてレバーを下げるだけで薪を割ってくれる。
木にはフシという硬い部分がある。しかしそんなものはお構いなしにバリバリ割っている。わーすげー(棒)
いいな
この頃には結構体力がもどってきて働いた後に遊ぶくらいの余裕も出てきた。
あまり大きい声では言えないが、チャリで4ケツしたのも良い思い出だ。
カトウはサドルに、娘と弟は荷台に、俺はサドルとハンドルの間に、ちょっと納得いかないが楽しかったのは事実だ。
カトウ「マジこけるかと思ったわwww」
俺「いやいや、マジ死ぬかと思ったわwww」
娘と弟はずっと笑ってた、夕陽がキレイですなー
全巻揃っていたので迷わずページを開く。
湘北対陵南の練習試合を読んでいると、後ろから声をかけられた。
娘「まだ起きてたんだ」
俺「つい懐かしくてね、俺中学までバスケ部だったんだ」
娘「そうなんだ、ちょっと外行かない?」
俺「いいけど真っ暗だよ?」
娘「いいからいいから」
娘に促されるまま外にでてちょっと歩く。
街頭も無く真っ暗だ。娘は懐中電灯を持っていたが、それを消した。
言葉が出なかった。ビルに囲まれた世界で産まれた俺はこんな景色が日本にあるなんて知らなかった。
俺「すげー…」
アホみたいだが言葉がみつからないときはこんなもんだ。
俺「星ってこんなにあったんだなぁ…」
感動のせいか一筋涙が流れた。まあ暗いから大丈夫だろう。
しかし現実は甘くない、娘が俺を照らしやがった。
娘「あ!泣いてる!www」
俺「泣いてねーしwwwあくび出ただけだしwww」
娘「その気持ちわかるよ」
娘が急にトーンを落とした口調で喋り始めた。
支援
俺「そうなんだ、景色すごいもんね」
娘「うん、この星達みてると自分の悩みの小ささを実感できるっていうか、まあ現実逃避に近いかもね」
俺「今もそうなの?」
娘「私、カトウくんが好きなんだ」
俺はちょっとショックだったがすぐに納得できた。
娘「あははwありがとうw」
娘「でもカトウくんはいつもすぐ居なくなっちゃうんだ」
俺「また来るよ」
娘「うん、でもやっぱり苦しいんだよ、今年は俺くんが来てくれて良かった、なんて言えばいいかわからないけど、安心できたよ」
娘「そういうのは奇跡っていうんじゃない?うわ、恥ずかし!w」
俺「恥ずかし!w」
娘「やめろーww」
娘「カトウくん一人のときは嬉しいんだけど苦しいんだ、でも今年は純粋に楽しかった、また来てね?」
俺「また来るよ、ニートだからw」
娘「仕事みつけなさいww」
俺「そんなに簡単に見つかったら苦労しねーよ…」
わかるだろ?
俺「そうなるね」
娘「長いなー…」
俺はなんて声をかければいいかわからなかったが、星達を見てて気づいたことをそのまま口に出した。
俺「まあ星達に比べたら何ヶ月かなんて一瞬だよ、瞬きしてまぶた閉じる途中くらいだよ」
俺は真面目に言ったのに彼女には可笑しかったみたいで笑い出した。
娘「あはははwww恥ずかしーwww」
俺「うるせーわーwwww」
娘「あははwwごめんwwあははw」
俺「人がせっかく慰めてやろうと思ったのにwww」
娘「ごめんってw笑ったらスッキリした、ありがと!」
俺「おう!wなんか納得いかないけどww」
娘「まーまーw帰ろっかー」
俺「そうすっかー」
ここに来て初めての夜更かしだ。
娘「おやすみー、寝坊するなよーw」
俺「娘もなwおやすみー」
次の日はちょっと眠かったがまあなんとか起きれた。
カトウはまだ寝てる。なかなか起きれないのが玉にキズだな、なんて考えてると目覚ましが鳴り、カトウも起きた。
俺「おはよー」
カトウ「おはよー」
カトウ「昨日は寝るの遅かったな」
俺はちょっとドキッとしたが隠すことでも無いと思い話した。もちろん娘がカトウを好きなことは話してない。
カトウ「そっかー、ここの夜空は見ないと損だもんな」
俺「だなー、本当すごかったわ」
そんなことを話して散歩終了。
俺「今日はいつになく豪勢ですなぁ」
カトウは既に手を洗いに行っている。どうでもいいがカトウは食事前には必ず手を洗うやつだ
カトウ・俺「いただいまーす」
娘「召し上がれ!」
俺は娘の声を聞くと飯が1.5倍うまくなる気がする、ヤバいヤバい。
収穫したものを箱詰めしたり運んだりというのではなく、ここでの生活が当たり前になりかけていた。
ここに来て初日の新鮮さも夜に見た星空も当たり前になりかけていた。
俺は不安で仕方が無かった。今日だけは夜が待ち遠しい。星空を見たい。そう思いながら過ごした。
面白いよほんとに。
みんなが寝静まった夜10時、俺は静かに布団を出て外に向かった。
懐中電灯はどこにあるかわからなかったが、今日は月が明るく、懐中電灯はいらないようだ。
ちなみに月で影ができるのもこの時初めて知った。
歩いて前に夜空を眺めた場所に向かう。どうやら先客がいるようだ。
娘「おっす!」
俺「泣いてるのバレバレだよ」
娘「だよねぇ…」
俺「俺もここで眺めていい?」
娘「うん、いいよ…」
俺「やっぱすごいよな、すごい」
娘「なに言ってるの?当たり前じゃん」
俺はこの言葉にドキッとして、そして娘に聞いてみた。
娘「どういうこと?」
俺「初めてここに来た時、すげー、こんなところがあるのか、家にエアコン無いのか、扇風機すら無いのか、と思ったのに、もうそれが日常になりかけてて不安なんだ」
娘「なにが不安なの?」
俺「俺はここに来て生きてて良かったって思えたんだ、娘も奇跡だって言ってただろ?でもそれが当たり前になったら、なんかヤバいじゃん」
俺「そうなんだ、どうすればいいんだろうね?」
娘「どうしようねw」
俺「笑い事じゃないよーw」
娘「不安になったらまたここに来なよ、ここの自然は俺くんが生きてるうちは無くならないよ」
娘「ほんと!?」
俺「あ、聞いてなかったのか、言わない方が良かったのかな?」
娘「そうなんだ、楽しみだなーw」
俺「切り替え早いなwww」
娘「俺くんもねw」
俺「俺は娘が笑ってると安心できるんだよ」
言った後に気づいたがこれってマズいかな?と思ったが相手は天然、問題ない
俺「ぼったくりマックかよwでもなんか安心した、俺が東京に帰ってもこの星達は存在しててただ見えないだけなんだな」
娘「なんか恥ずかしーねw」
俺「もう恥ずかしくてもなんでもいいよw」
娘「私も俺くんに会えて良かったよ」
俺はもうこの言葉で十分だった。けど恥ずかし過ぎて
俺「恥ずかしーw」
言っちゃったよ、はあ
俺「羨ましいなぁ、俺は人に恵まれたのはカトウくらいだよ」
娘「カトウくんが良い人連れて来るから私は人に恵まれるんだよw」
もうカトウには敵わないな、俺は素直にカトウと知り合いになれたことを誇りに思う。
俺「もう何に悩んでたのかわからなくなったわw」
娘「私もw」
俺「そんじゃ帰りますかー」
娘「そうしますかー」
続きが気になるな
俺「俺たちちょっと贅沢だったのかもな、それでそれが無くなりそうになって焦ってたんだ。」
娘「あー、そうかも」
俺「もともと持ってなかったものを誰かがくれて最初は喜んでたのに、それがいつのまにかそれがあって当たり前になってて、でもそれを取り返されそうになるとやっぱり無くしたくないって思うんだ。」
俺「俺カトウや娘一家に会えただけで人生満足だよw」
娘「それはちょっと欲張らな過ぎじゃない?w」
俺「これくらいで満足して喜んでるのがちょうどいいよ、もしまた良い人に会えたら超うれしいじゃん?w」
娘「たしかにw良いこと言うじゃんw」
娘「ありがとう、カトウくんにもお礼言っときなよw」
俺「おう!」
娘「じゃー寝ますか!」
俺「そーしますか!」
娘「おやすみ!」
俺「おやすみ!」
やっぱりここは良いところだ、失いたくない。
これも贅沢なのか?とか考えたが先ばかり考えて今ある幸せに気づかないのもアホらしいと思ったところで、恥ずかしくなってきて寝た。
この頃には箱を1回で2箱運ぶのは当然、たまに3箱に挑戦してヒィヒィ言っていることすら珍しい光景では無くなっていた。
カトウも俺に触発されてか(俺の自惚れか)いつも以上に気合が入っているようだ。
俺とカトウは夕飯の買い出しに出かけた。軽トラを借りて出かける。
実は俺は軽トラを運転するのが夢でもあった。しかしMT。不安だ。
カトウ「大丈夫か?汗すごいぞ」
俺「大丈夫、大丈夫…」
キーを回してエンジンをかける。クラッチを切り1速に入れる。アクセルを開け、徐々にクラッチを繋ぐ…動いた!
窓を開けているだけで爽やかな風が吹き込んで来る。この土地は良い最高だ。やっぱ言うならこのタイミングかな
カトウ「ん?」
俺「ここに連れてきてくれてありがとな」
カトウ「…」
返事が無い、ちらっとカトウの方を見ると涙を流してた。
俺「どうしたんだよ…!?」
俺は結構焦ったが、しばらくして落ち着いたカトウが話してくれた。
俺高校の時鑑別所行ったりしてたんだ。
だけどふとこれじゃダメだって思って、その時通ってた高校辞めたんだ。
それでまた一から高校入り直そうと思って見つけた高校で娘や他の友達と出会ったんだ。
今までの学校のイメージとだいぶ違う学校でさ、マジで楽しかった。
そこで俺は助けられた。そんで俺は自分の中で、1回助けられたら3回誰かを助けるっていうルールを決めたんだ。
でもある日2ch見てたらさ、「暇、助けろ」ってスレ見つけてもうこれだー!って思ってさ、でもお前から連絡来なかったらどうしよう、もし来てもどうやって助ければいいんだろう、
でもすぐにお前から連絡きてさ、もうあそこしかないって思ってここに連れてきてさ、
お前がここに来て良かったって言ってくれて本当嬉しかったんだよ、お前が俺が助けられた人1号だよw」
俺が立てたクソスレにこんなに真剣に向き合ってくれたヤツが居たことが。
そして、そいつと今、そいつの大好きな土地に居れることが。
俺もついうれしくて涙をちょっとだけ流してしまった。
そしたらその途端カトウが
俺「うるせーwwwわりーかwww」
カトウ「悪い、この話嘘なんだwww」
俺「は?どっからどこまで?」
カトウ「お前が20歳のニートってとこから全部だよwwww」
終わり
リアルなら良い話だったなー
一応続きを用意したのですが、いらなければイラネなどのレスをください。
もし読みたいという方がいるようでしたら申し訳ありませんが投下させてもらいます。
レスが無いようなら、身勝手ながら投下させてもらいます。
俺「うるせーwwwわりーかwww」
カトウ「でも今気づいたんだけどさ、お前に助けられたって言ってもらえてなんか俺も助けられたんだよね」
俺「というと?」
カトウ「1回助けたら助ける回数が2回増えるってことwww」
俺「それはいいなwwww」
カトウ「だろ?www最高だwww」
俺「着いたー、思ったより立派なスーパーだな」
カトウ「肉屋はあっちに良いところがあるよ」
野菜などはスーパーで買い、肉は精肉店っていうのかな?そこで買った。
肉なんてパック詰めされた物しか買ったことがない。量を指定して買うというのは新鮮だ。
最後にカトウと俺で割り勘して花火セットを買った。これは頼まれていないがサプライズだ。
カトウ「よし、帰って準備だな!」
俺「おう!」
さすがにカトウは何度もやってるみたいで手慣れたものだ。
4時頃になって娘と弟が帰ってきた。
プールにでも行ってきたのだろうか、髪が濡れている。と思ったら肩からクーラーボックスを下げている。
娘「川だよー」
俺「魚釣ったの?」
娘「釣ったよ!みてみて!」
俺はクーラーボックスを覗いて驚いた、デカい魚が10匹くらい入ってる。20〜30センチはありそうだ。
俺「すげー、これなんて魚?」
娘「これはイワナっていう魚だよ」
俺「へー、うまいの?」
娘「超うまいよwww」
俺「マジか、楽しみwww」
カトウは火を起こしている。俺は娘と弟とイワナの下ごしらえをすることになった。
俺「了解」
弟が新聞紙に塩をぶちまけてる
俺「え、そんなに使うの?w」
弟「そうだよww」
弟は魚に塩を付け始める。もう付けるっていうかすり込む感じだ。
味濃過ぎじゃね?と思ったがここは従っておこう。塩をつけた後は魚に串を刺す。
串は目から刺すらしい、口から刺すイメージだったので意外だった。
カトウ「串を刺す時はな、スノボのキャンバーをイメージすればいいんだよ」
俺「ふーん?」
よくわからないがキャンバーというのはWのような形らしい、なるほどわからん。
とりあえずイワナをくねくねさせながら串に刺していく。
そして下ごしらえ終了。1匹だけ違う魚が居ることに気づいた。
カトウ「よく気づいたな、それはニジマスっていう魚だよ」
俺「そうなのか、ニジマスの方がうまいのか?」
カトウ「俺はイワナの方が好きかな、食べ比べてみたら?」
俺「お言葉に甘えるわww」
俺「え、野菜は焼かないんですか?」
吾郎さん「せっかく腹減ってるのに肉食わなきゃもったいないだろww」
俺「な、なるほど!」
吾郎さんが言うならそうなのだ。
俺「漫画みたいだ!」
カトウ「いいだろwww」
俺「すげーいいわwww」
カトウ「そういえば持ち物にカメラって書いておいたけど忘れた?」
俺「いや、持って来てあるけど使ってないよ」
俺「初日に一枚だけ撮ってみたんだけどさ、全然違うんだよ、迫力っていうのかな?」
カトウ「あー、わかるわそれ、俺も最初は写真撮ってたけどいつの間にか撮らなくなったわ、やるなww」
俺「だろwwwやっぱ写真は被写体には敵わないんだよwww」
カトウ「カメラマンが居たら殴られそうだなwww」
そう言って俺たちは笑った。
そういえばここに着てから笑ったり泣いたり、感情が素直に出てくる。
自然の中に居ると俺も自然体になれるのだろうか。
ちょっと恥ずかしくなってきたところで
カトウ「よっしゃ!食うぜー!」
社長「食うぜー!」
夏実さんのキャラが未だに定まらない。流石だ。
肉はもう肉!って感じ、タレ無しでもうまい。
そしてイワナとニジマス。簡単に言えば超うまかった。
イワナの方がもうちょっとうまかった。言葉が見つからないので気になる人は是非食べて見ることをお勧めする。
そしてこの家で採れたトウモロコシ。炭火焼きで食べてみたがこれはちょっとうますぎた。
そして辺りも暗くなってきた頃、俺たちは食材を完食した。
そしてカトウはニヤニヤしながら軽トラに向かった。花火を取りに行ったのだろう。
娘と弟も家に入っていった。と思ったら出てきた。
娘「え?毎年うちで用意してるのに」
カトウ「あれ、そうだっけ!?」
どうでもいいがカトウはたまに記憶を失うやつだ。
娘「まあいっぱい遊べるからいいじゃんwww」
カトウ「それもそうだなwww」
煙がすごい、もはや煙幕だ。カトウの姿は見えなくなった。
吾郎さんは座ってニコニコしている。社長はビールを飲んでいる。
そして最後の締めにみんなで線香花火をやった。
吾郎さん「よーし、終わり!」
カトウ「終わりかー!」
名残惜しいがこれでここでの生活も終わりか…
そう言って弟が取り出したのはヘビ花火。とりあえず火を着けてみんなで眺める。うにょー
カトウ「なんか締まらねーwww」
でもみんな笑ってる、やっぱ笑ってるのはいい、笑ってるだけで幸せになれる気がする。
違うな、笑えるってことは幸せなことなんだな。この辺まで考えたが俺は恥ずかしくなったので考えるのをやめた。
俺「カトウ、明日何時に帰る?」
カトウ「そうだなぁ、午前に出荷手伝って帰るか」
俺「じゃあ午後には出発かぁ」
カトウ「帰りたくないだろ?」
俺「帰りたくないわ、でも帰る」
カトウ「お、ちょっと男らしいぞwww」
俺「俺には俺の居場所があるからなwww」
カトウ「ヒューヒューwww」
ちなみにこれは口で言っている。
カトウ「おう、また連れて来るぜ」
俺「冬までにちゃんと生きるww」
カトウ「ちょっと女々しいぞwwwがんばれwww」
いつもの時間に起き、
いつものように散歩に行き、
いつものように朝食を食べ、
いつものように収穫する。
東京での俺は明日が来ることが当たり前だと思っていた。
でも、もうここで当たり前に明日を迎えることはできない。だから俺は今ちょっと嫌な感じだ。
いや、俺は気づきかけていたじゃないか、いつもあるものが当たり前じゃないということに。
俺は東京に帰ってもこのことを忘れない、まあたまに忘れるだろう。でも思い出せる自信がある。今日一日とりあえず頑張ってみよう。
中を確認すると1万円札が何枚か入っているようだ。
俺「なんですか?これ」
吾郎さん「バイト代だよ、あれ、カトウくんから聞いてない?」
俺「聞いてないですよ?」
カトウ「言ってないですwww」
俺「なんで言わなかったんだ?」
カトウ「お金とか余計なこと考えないでここに連れてきたかったからな、あとお前をちょっと試したのもあるwww」
俺「ひでぇwww」
俺「そうかもな、恥ずかしーw」
カトウ「うるせーw人がせっかく褒めてやったのにw」
俺「はいはいw吾郎さん、お金置いて行きます。また取りにきていいですか?」
吾郎さん「待ってるよ、今度は冬に来るんだろ?w」
カトウ「知ってたんですかwww」
吾郎さん「娘がうれしそうに話してたからねw」
俺「じゃあまた来ます!」
吾郎さん「おう!」
みんないい笑顔だ。
カトウ「それじゃ帰ります、お世話になりました!」
俺「ありがとうございました、また来ます!」
娘「またね!待ってるよ!」
明日はどんな一日なるのだろう。明日がどんな日になるのかは自分次第だということを俺は学んだ。
今はカトウに頼りっぱなしだ。次は自分の力でまたここに戻ってこよう。
そんなことを考えながら昼の道を走る。
面白かった>>1乙
>>1乙です。
乙!誰かを助けられるような人になる!!
冬の話も待ってるからな。
冬の話も書きたいとは思っていますので、もしまた見かけたらよろしくお願いします。
頑張ろう
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